庄内黒研

１９９９年１０月１０日～１１日

　１０月９日も波が高く、大した釣果もなかった私は、折角の連休どっか遠出しようと思い立ち、「よし！粟島へ行こう！」と、その日の夜に準備を行い、その日の内に新潟県岩船港へ車を飛ばした。
別に次の日の朝でも十分に間に合うのだが、「朝マズメも岩船港で・・・」という早く釣りがしたい気持ちが、寝る間も惜しむように車を走らせたのである。急遽、思い立ったので誰も誘う事も出来ず、気ままな一人旅となった。

　午前２時、岩船到着。そのまま仮眠する。明け方の急な冷え込みに目が覚めると午前５時。妻がポットに詰めてくれたコーヒーを飲みながら周辺を見回すと、既に数人の人が釣りをしている。仕掛けからするとアジ釣りらしい。どうやら内陸の人のようでサビキで懸命に小アジを釣っている。その人達より少し離れて、二人の若いカップルが釣りを始めた。１投目からヒット！見るとシノコダイである。「おっ！いるのか！」岩船港で団子釣りをしようか、どうしようか迷っていた私は、思わず「しのこ鯛七尺」竿を出してしまった。「まあ、フェリーの時間までちょっと遊び程度で・・・」日が昇る前は適度にアタリがあり、３匹ほど釣れたのだが、その後ピタリと止まり、時間となる。

　フェリー乗り場で切符を購入していると見覚えのある人がいた。庄内フィッシングクラブのメンバーのＳ氏である。しかも以前、やはりこの場所で、偶然出会った私の高校の同級生と一緒にいた人で、一緒に同行させて頂いた人である。と言うか、粟島での内浦港での団子釣りの情報をこの人に頂いたおかげで、昨年楽しい思いをさせて頂いたのである。もう一人同メンバーのＮ氏と二人連れであった。

「おお、何一人？どこさ行くな。」

「内浦で団子や～」

「やっぱり！ライバル登場だなあ～」

彼らも私と同じパターンらしく、今回もまた行動を共にする事になった。気ままな一人旅も良いが、知り合いに会えてちょっと気が楽になった私である。フェリーに乗り込み、イザ！粟島へと向かう。１年２ヶ月ぶりであった。

粟島に到着後、直ぐさま防波堤へと向かう。私は昨年と同ポイントに陣取ったが、彼らは先端付近で行うようである。私は例の佐藤流団子を調合し、投入する。１時間経過後、ようやくアタリがあり、アワセを行うとコブ鯛の幼魚だった。しかし、それ以降一向にアタリはない。彼らも同様のようだ。釣遊会のウーさん達の情報でも今年は、メジナすら釣れなかった話しを聞かされていたが、秋シーズンは多少は魚影も濃くなるだろうと思っていたのだが・・・。

夕方になった。ふっと、先端部に目をやると彼らのもっと先に釣り客が二人いたが、その内、一人の竿が大きくしなっているのが見えた。「おぉっ来たか！」タモ網ですくっている様子からクロダイのようである。俄然やる気が出る。その内、Ｎ氏の竿も曲がっているのが見えた。「おおおぉっ 来てる！」駆け寄って話しを聞くと尺サイズのクロダイ。彼らに先端の方が良さそうとの事だったので、私も彼らの隣に入れてもらう事にした。

Ｎ氏に立て続けにヒット！型はあまり大きくはないが、３枚ほど連続で釣り上げる。
「団子割れるのが早いすけ、寄ってるの～。」
またアタリ！が、今度は大ボラであった。私とＳ氏にはまだアタリはない。ここでＳ氏の団子が気になった。通常の団子ではないようである。「喰わせ団子かな？」が、市販のものではないらしい、自作もののようだ。私に初めてアタリがあった。「来たか！・・・ン？」８寸級のメジナであった。しかし初めてまともなアタリで一応、半本命のメジナだったので、ちょっと嬉しさがある。「入れ喰いになれば良いのに・・・。」

しかしそれだけであった。辺りはすっかり日も暮れて、初日の団子釣りは終了、明日に期待する。一応、マダイと尺アジ狙いで通常のフカセ釣りを行うが殆ど釣果はなく、少々疲れも出てたので、夕食後、仮眠する。今回は一人とあって、日除け用のテント（前が開いている）と寝袋だけでの仕度。しかし風さえ防げればそれで十分暖かく睡眠出来た。彼らは一晩、外海側で釣りを行うらしい。さすがである・・・。

　次の日、朝から団子を投入するが、一向にアタリはない、私は先端部付近の足元でメジナ狙いで、半分筏釣法で何とか３、４枚釣り上げる。彼らも今日はまだ釣果はなかった。場所を再度、中央付近まで戻って行うが、結果は同じ事。アタリはない。時間は午前１０時を廻っていた。

　先端部にいたＳ氏の竿が大きくしなっている！「来たか？！ボラ？」
が、ちょっと様子がおかしい・・・Ｎ氏が私を呼んでいる。駆け寄ってビックリ！見たこともない大きなクロダイがそこに横たわっていた。「でけ～！」サイズを測ると何と５７センチ！


＜Ｓ氏とクロダイ＞

　現認したなかでは最長寸である。その後、ほとんど釣果なく、帰宅する事になったが、悔しさより良い物を見た感じのほうが強く、未知なる島に新たなる期待感を感じるのだった。

　また、来年！挑戦・・・。