庄内黒研

  

　高校生まで釣りと言えばこの仕掛けしか知らなかった。ごらんの通り、極シンプルな仕掛け。フカセ釣りの原点である。ウキ釣りが主に視覚で釣るのに対し、この仕掛けは魚信と竿先の感触で釣る。極端に言えば目をつぶっていても釣る事が出来る。庄内釣りの場合、道糸を出し入れしてリールを巻くという行為はあまりせず、竿よりやや短めの長さで固定する。但しリールはＯＮ状態にし、強い向こうアワセの時に対応する。
　中通しでの仕掛けを全て「庄内釣り」とは呼ばない。「庄内釣り」は庄内磯でその仕掛けや棚にマッチした場所に竿を振り込む釣りを「庄内釣り」と呼ぶ。つまり庄内釣法は庄内地方の黒鯛ポイントと釣法が一体化した釣法なのである。

  

　
■私のウキ釣り釣法



遠矢ウキ釣法

　ベタ凪時や水深が深い釣り場の時に、この仕掛けにしている。この仕掛けはモゾモゾとした微妙なアタリもとる事が出来る為、春磯のノッコミ時に使用している。視覚のみでアワセが出来る為、ウキ釣りの中では比較的、初心者向きの仕掛けだろう。この仕掛けの場合は道糸を張らず糸ふけを出し、時々しゃくり上げて誘いをかける。私はダンゴ釣りの場合もこの仕掛けで行っている。だた遠矢ウキはスリム小に変える。


円錐（ドングリ）ウキ釣法

　秋から冬に掛けてはこの仕掛け。サラシ場でのフカセ釣りとなる。私はウキを自作出来ないので、市販されているウキを使用している。色々と試し釣りをするので、決まったウキは使用しない。庄内の海にマッチしたウキが現れるのを心待ちにしている。
　この仕掛けでの狙い目は、「いかにうまい誘いが掛けられるか」である。それともう一つ、棚取りである。庄内釣りでの中通し竿では棚取りに限界があるが、ウキ釣りの場合はウキ止めの位置を上げたり下げたりする事で自由に変えられる。釣り雑誌等で色々な仕掛けが紹介され、ビギナーでもそこそこ仕掛けは作れるものの、ベテランとの釣果に差がつくのは実は棚位置の違いではないだろうか。ウキ釣りの場合、遠投が出来るという利点もあるが、だた遠くに投げれば釣れるというわけではない。特に庄内磯の場合は、ウキを流す場所が決まっている、そこに流さなければ釣れない、という場合の所が多いので、そう言う事を知っているか知らないかで釣果が変わってくるというのも事実である。