2005年09月23日
「釣り」への姿勢
釣りをしている人を観察すると、ある程度の人柄や性格が読みとれる場合がある。
特にビギナーはそれが謙虚に現れ、釣りの向き不向きはもちろん、人間としての成長度が測れるのだ。
これは当時、私の上司だった人とのエピソード。
無趣味だった彼が私の肩を叩きこう言った。
「俺も趣味持ちたいんだけど、釣りでもやろうかと・・・」
私が釣りバカなのを知っているので、道具や仕掛け一式を教えてほしいとの 事。断る理由もなく私は、釣りの楽しさを知って頂きたく、最初から大物狙いは無理と判断し、小物竿と仕掛け一式を見繕い今度の休みに一緒に釣りに行くこととなった。
季節は初秋、防波堤での小物釣りにはもってこいの時期。
私はシノコダイ狙いで鼠ヶ関の防波堤に彼を連れて行き、竿の伸ばし方から、仕掛けの作り方 などを、一通り教えた。
流石に私の上司だけあって、そこまでは問題なくこなす。防波堤に二人並んで腰をおろし、竿を出す。潮加減も良かったのか、すぐさ ま私にヒット。またヒット。シノコダイの入れ食い状態だった。おまけに結構強烈な引きだと思ったら二才。
「うぉ!大き~!」
彼が驚く。そんな彼には1匹も釣れない。
12,3匹釣ったところで、彼がこう言った。
「仕掛け悪いなんね~。見てくれ!」
「仕掛けは同じだよ~」
悪い訳はない、私が買った仕掛けで、私の仕掛けと同じようにセットしたのだから。
しばらくして、また彼がこう言った。
「竿の長さちょっと違う物~。ちょっと変えてみよ~」
「いいよ~」
確かにほんの30センチほど、彼の竿は長かったが、取り替えた私はそれでも釣り上げる。また彼がこう言った。
「場所悪りなだ~!そっちさ、移って良いが~」
「いいよ~」
座っていた場所を取り替えるが、二人は1mも離れてはいない。 私の爆釣は続いた。
さて、彼の行動は・・・次のうちどれでしょう。
1.そのまま釣れない釣りを黙々と続けた。
2.ふてくされてやめて帰った。
3.釣れているのにも関わらず別の場所に移動した。
実は大体のビギナーは上記のどれかに該当する。しかし、彼の場合は違っていた。
真面目な顔で私の方を向き、こう言った。
「俺の腕が悪いのはわかった・・・何が悪いのか教えてくれ。」
そう言って彼は部下である私に、ペコっと頭を下げたのだ。 当然の事ながら、何故彼が釣れないのか私にはわかっていた。が、ちょっと意地悪をして肝心な事を教えていなかったのだ。
しかし、彼がそう言った事で、真剣に釣りを楽しみたいという気持ちがわかり、私も真剣に教える事にしたのである。
「アワセだよ!アワセ方が悪いんだよ。ほらこうやって手首を返して・・・」
彼はアワセを行うとき腕を上げていたのだ。
「それから、シノコダイは何も引くだけじゃあないから・・・エサ喰わえたら上に上がってくる場合もあんのよ。だから穂先だけじゃあなくて道糸も見てないと・・・」
「あと、時々しゃっくって誘いを掛けるの・・・」
一つ一つを実演して教える。それを聞いた彼は、的を得たかのような顔で、1匹2匹と釣り上げる。
その後は大漁で楽しい釣りとなった。
何事も新しい事に取り込む為には、それに対する姿勢と粘りが大切なんだと いう事を彼から教わったような気がする。
後に彼は大物釣りにも挑戦する。訳あって退職してしまったが、彼が念願の尺黒鯛を釣ったのはこの時から5年後の秋だった・・・
特にビギナーはそれが謙虚に現れ、釣りの向き不向きはもちろん、人間としての成長度が測れるのだ。
これは当時、私の上司だった人とのエピソード。
無趣味だった彼が私の肩を叩きこう言った。
「俺も趣味持ちたいんだけど、釣りでもやろうかと・・・」
私が釣りバカなのを知っているので、道具や仕掛け一式を教えてほしいとの 事。断る理由もなく私は、釣りの楽しさを知って頂きたく、最初から大物狙いは無理と判断し、小物竿と仕掛け一式を見繕い今度の休みに一緒に釣りに行くこととなった。
季節は初秋、防波堤での小物釣りにはもってこいの時期。
私はシノコダイ狙いで鼠ヶ関の防波堤に彼を連れて行き、竿の伸ばし方から、仕掛けの作り方 などを、一通り教えた。
流石に私の上司だけあって、そこまでは問題なくこなす。防波堤に二人並んで腰をおろし、竿を出す。潮加減も良かったのか、すぐさ ま私にヒット。またヒット。シノコダイの入れ食い状態だった。おまけに結構強烈な引きだと思ったら二才。
「うぉ!大き~!」
彼が驚く。そんな彼には1匹も釣れない。
12,3匹釣ったところで、彼がこう言った。
「仕掛け悪いなんね~。見てくれ!」
「仕掛けは同じだよ~」
悪い訳はない、私が買った仕掛けで、私の仕掛けと同じようにセットしたのだから。
しばらくして、また彼がこう言った。
「竿の長さちょっと違う物~。ちょっと変えてみよ~」
「いいよ~」
確かにほんの30センチほど、彼の竿は長かったが、取り替えた私はそれでも釣り上げる。また彼がこう言った。
「場所悪りなだ~!そっちさ、移って良いが~」
「いいよ~」
座っていた場所を取り替えるが、二人は1mも離れてはいない。 私の爆釣は続いた。
さて、彼の行動は・・・次のうちどれでしょう。
1.そのまま釣れない釣りを黙々と続けた。
2.ふてくされてやめて帰った。
3.釣れているのにも関わらず別の場所に移動した。
実は大体のビギナーは上記のどれかに該当する。しかし、彼の場合は違っていた。
真面目な顔で私の方を向き、こう言った。
「俺の腕が悪いのはわかった・・・何が悪いのか教えてくれ。」
そう言って彼は部下である私に、ペコっと頭を下げたのだ。 当然の事ながら、何故彼が釣れないのか私にはわかっていた。が、ちょっと意地悪をして肝心な事を教えていなかったのだ。
しかし、彼がそう言った事で、真剣に釣りを楽しみたいという気持ちがわかり、私も真剣に教える事にしたのである。
「アワセだよ!アワセ方が悪いんだよ。ほらこうやって手首を返して・・・」
彼はアワセを行うとき腕を上げていたのだ。
「それから、シノコダイは何も引くだけじゃあないから・・・エサ喰わえたら上に上がってくる場合もあんのよ。だから穂先だけじゃあなくて道糸も見てないと・・・」
「あと、時々しゃっくって誘いを掛けるの・・・」
一つ一つを実演して教える。それを聞いた彼は、的を得たかのような顔で、1匹2匹と釣り上げる。
その後は大漁で楽しい釣りとなった。
何事も新しい事に取り込む為には、それに対する姿勢と粘りが大切なんだと いう事を彼から教わったような気がする。
後に彼は大物釣りにも挑戦する。訳あって退職してしまったが、彼が念願の尺黒鯛を釣ったのはこの時から5年後の秋だった・・・
(2000/2/3 メルマガ記事)
Posted by 黒研 at 00:42│Comments(0)
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